三菱ふそう大型路線バス エアロノンステップHEV (撮影用特別仕様車)
シリーズ式電気ハイブリッドシステム搭載車
1.開発の狙い |
近年、市街地を走行する路線バスには、大気汚染の深刻化に伴う排出ガス低減、及び経済性、 地球温暖化防止対策としての低燃費化(CO2排出量の低減)が切実に求められています。一方、高齢化社会などに向けたバリアフリー対応としてノンステップ化や車内移動性の向上が求められています。
三菱ふそうではこうした社会ニーズに応えるために、電気ハイブリッド(HEV)駆動システムを採用しました。低公害車の早期普及を目指し、既存のインフラを有効活用できるディーゼルエンジンを発電源とすることで、排出ガス・燃費・騒音を大幅に低減し、環境との調和を図ると共に、合理的な機器配置により居住性や車内移動性を大幅に向上しました。 |
2. 商品概要 |
(1) |
新開発大型路線バス用HEVシステム
(シリーズ式電気ハイブリッド駆動システム)
|
|
エンジンを発電専用として使用し、モーターで駆動するシリーズ式ハイブリッド方式を採用。エンジンを効率および排出ガス性能両方の最良点で一定運転すると共に、高効率、高出力のリチウムイオン電池の採用により平坦路では走行時はもとより発進時でもエンジン停止状態からバッテリー走行します。また制動時には高効率でエネルギー回生を行います。これらにより排出ガス性能と燃費性能を共に向上させることが可能となり、新短期排出ガス規制値に対して排出物質を50%以上削減、燃費は従来車比で1.4倍の向上を実現しました。
|
HEVシステム概要図
|
|
|
・ |
電池に蓄えられた電気エネルギーを利用して発進、走行します。 |
・ |
一般にブレーキやパワーステアリングなどを作動させる補機類は、エンジンの回転を動力源にしています。エアロノンステップHEVの場合、エンジン停止時には、電池による補助システムが作動してそれら補機類の性能を確保します。 |
|
|
|
・ |
バッテリー蓄電量が低下した時は、自動的に発電用エンジンが始動して効率的な充電を行います。この時発電用エンジンは、効率と排出ガス性能の最良点で一定運転しているので、低燃費・低公害を両立しています。 |
・ |
また加速、登坂時などはバッテリー電流とエンジン発電電流を合せて強力なモーターパワーを発揮します。 |
|
|
|
・ |
制動時には走行用モーターを発電機として利用し、制動エネルギーを回収します。
走行用モーターによる電気(回生)ブレーキと主ブレーキは電子制御により協調制御され、車速ゼロ近くまで制動エネルギーを効率的に回収します。 |
|
(2) |
八都県市「優-低公害車」指定の卓越した低公害性 |
|
シリーズ式電気ハイブリッド方式ではエンジンは発電専用であるため、車速や走行負荷の影響を受けず一定運転が可能です。また、制動エネルギー回生によりエンジンの運転時間も短縮しました。これによりエンジンの全回転域を使用する従来車と比較し排出ガスを大幅に低減しました。従来車比でNOx排出量は68%、PM排出量は76%低減を実現し、八都県市低公害指定制度/東京都低公害指定制度「優−低公害車※」を取得、地球環境に優しい車となっています。
また、アイドリングストップ&スタートシステムを標準装備し、信号待ちや乗降時などではエンジンを自動停止し、更なる燃費向上と排出ガス削減に貢献します。
※排出物質を新短期規制値に対して50%以上低減。
|
|
(3) |
バリアフリー型社会に適応するノンステップ車体 |
|
前扉部から中扉部まで、段差を無くしたノンステップ車体構造を採用。ステップ地上高は300mmで、電子制御ニーリングシステム(車体左側70mmダウン)と合せて乗降をし易くしています。また、車椅子利用の方の乗降を配慮しスロープ板など交通バリアフリー法に適合しています。 |
(4) |
超偏平シングルタイヤ(後輪用)採用による通路幅の拡大 |
|
後輪に量産車国内初の超偏平シングルタイヤ(ブリヂストン製)を採用することにより、重量が低減しさらなる燃費の向上を実現しました。また、コンパクトで高出力のモーターとあわせて、リヤアクスル、 サスペンションの基本構造の変更なしに後輪部の通路幅を従来車に比べ約1.5倍に拡大し、車内移動性が向上しました。 |
|
サイズ |
435/45R22.5 |
重 量 |
20%低減
(従来ダブルタイヤ比) |
|
ワイドフロア化された後輪部
|
|
今回発表した「エアロノンステップHEV」は、2002年6月から遠州鉄道株式会社(本社:浜松市 鈴木敬彦社長)がシリーズ式ハイブリッドバスとして国内で初めて路線営業しました。2002年のサッカーワールドカップ大会では静岡スタジアムエコパ会場とJR掛川駅のシャトルバスとして運行、その後も浜松市内の路線で一般車と同様に運行しました。
この車両は2003年9月までに5万キロ以上を無故障で走行し、当社HEVシステムの高い信頼性を実証しました。電気モーターによるフルオートマチック駆動により煩雑なクラッチ操作が不要で、ドライバビリティも良好であることから運転士の方から高い評価を頂きました。また、昨年開催された「東京モーターショー2003」の環境体験ランドに試乗車として出品。来場者の方々からも変速ショックが無くスムーズな発進・加速、静かな室内、広いノンステップエリアなどの点から高い商品評価を頂きました。 |
4.東京地区メーカー希望小売価格 '04年2月現在(除く消費税) |
発売車種 |
価 格 |
MP37JM(改) 68名乗 |
39,800 |
|