2004年6月14日
三菱ふそう記者会見 社長スピーチ − 6月14日(19:00) |
*本文は、スピーチ原稿をそのまま掲載しております。
会見配布資料 (PDFファイル) 代表取締役社長 最高経営責任者 ヴィルフリート・ポート: 皆様、 まず始めに、当社の記者会見の設定日について、国土交通省との間で混乱を招いてしまったことについて説明させていただきます。 我々は、 6月7日、97件の品質問題のリストをまとめた後、その結果について国土交通省と事前の話し合いを行ないました。 しかし、その時点では、重要な事実の多くは出揃っていないか、あるいは確認できていない状態でした。 このように正確かつ信頼できる情報が不足した状況では、その詳細について責任を持って発表することができませんでした。 そのような状態で発表することは、皆様、メディアの方々、そして一般の方々、お客様に対して、誤解を招く事実を報告してしまう危険性がありました。 そうした状況を踏まえ、 6月8日の時点でただちに記者会見を開くことを断念し、6月15日に設定しましたが、その後確認作業を進め、本日、前倒しで記者会見にこぎつけました。 誤解や混乱を招いてしまい、申し訳なく思っております。 本日は、過去の品質問題について、包括的な報告をさせていただきます。 この数週間におよぶ社内調査の結果、当社は国土交通省に 47件の市場措置を届出することになりました。 この 47件には、過去の「指示改修」13件が含まれております。 報告を申し上げる前に、まず、過去における当社の重大な不正措置に対し、お客様、及び一般の方々に改めてお詫び申し上げます。 また、先日の元役員起訴、逮捕の件に関しても、お騒がせしてしまい、申し訳なく思っております。 我々は、これらの問題を厳粛に受け止めております。同時に、今後ともこれまで以上に厳しく過去を清算すべく洗い出し作業を行って参ります。 徹底した当社の情報開示、透明性維持への決意を表する意味で、出来る限りの詳細を皆様に提示させていただきたいと思い、わかりやすいチャートを多く用いた参考資料を用意致しました。 まず、 47件の市場措置の予定に至った経緯をご説明致します。 これは、 5月20日の記者会見で発表した当社の新たな考え方に基づく取り組みがもたらした結果です。我々は、全く新しい組織的な社内調査を行なって参りました。 2000年の時点では、当時の三菱自動車は1998年4月から2000年6月までの商品情報連絡書を提出致しました。 しかし、調査の結果、以下の 3点の事実が明らかになりました。
今回我々は、以前とは大きく異なった方法で調査を進めて参りました。 まず、問題の調査対象期間を当時の 1998年から2000年の2年間から12年間に拡大し、今日から1992年にまでさかのぼって調べあげました。 次に、調査範囲を広げ、広く、また深く掘り下げた調査を行ないました。過去における指示改修についても、全て調査致しました。 その結果、この 47件の市場措置について、国土交通省との確認作業を開始する状態にこぎつけました。 最終的な確認の作業によって、この数字が多少前後する可能性もありますので、ご理解ください。 参考資料 1では、当社がこの47件の問題に到達した経緯を説明しております。 最初に、参考資料 1の左側の1列目にあるように、基本チェックリストである97件の品質問題を確認いたしました。 参考資料の 2列目には、調査すべき品質問題として合計159件があげられています。 この 159件から、国内で正式な市場措置を必要としないケースとして以下のケースを除外しました。
3列目に、市場措置の対象となる47件が記されておりますが、そのうち13件は以前に指示改修が実施されています。 この 47件のうち、43件がリコール対策、そして残りの4件が改善対策の対象になります。残りの58件の指示改修については、今後、国土交通省との更なる検討が必要となりますが、技術的な査定の結果、対策を講じる必要性はないと判断しております。 こうした形で、当社は今回初めて、過去の全容を明確かつ包括的に把握できたと確信しております。また、これは「過去」の問題であることを、強調しておきたいと思います。 ここで、もう一つ強調しておきたいことがあります。 これらの社内調査の結果は、単に把握した事実の件数を数字的に処理しただけのものではありません。 これは、当社の全部門が横断的に強力な調査を行い、その結果についてしっかりとした判断を行った結果であります。 また、この一連の洗い出し作業は、過去における当社の隠蔽体質を克服する取り組みの中で初めて成し得たことです。過去において、時にお客様の安全を軽視した意見が取り上げられておりました。それがリコール隠しという行為につながったと言わざるを得ません。 しかし今、新たな経営体制のもと、全社員が声を上げ始めており、この新たな開示性の強化により、当社の社会的責任に対する意識も大きく変わってきています。 本日このような形で発表にこぎつけたことは、当社が透明性の高い、社会的責任を重視する企業として変革を遂げつつある明確な一里塚を示すものと考えております。 この重要な節目の時に、過去の不正を一掃し、その責任を示す意味で、当社取締役会は、経営陣全員の給与の自主返納を決定し、今月から開始致します。
自主返納した金額は、 7月から交通遺児育成基金に寄付致します。 ここで塩澤の方より品質問題の詳細についてご説明いたします。 常務執行役員 塩澤 秀幸: それでは、参考資料 2をご覧ください。これは、リコール届出予定および改善対策の47件の詳細をまとめた資料になります。 まず、この 47件をAからEまでのランクに分類しました。最後の4件については改善対策を予定しております。このAからEの分類については参考資料の下で説明しております。なお、Dにつきましては処理済みにつき、リスト上にはありません。それから表の2Bの38から43については、新たに見付かった指示改修であり、今後ランク付けを行い、できるだけ早く対応したいと考えております。 各ケースについては、資料2 Aに基づいて、左から右に以下の項目について詳細を説明致します。
右側の列には、技術的問題の解明に要する時間が記載されています。詳しいスケジュールに関しては、参考資料 3をご覧ください。ご覧の通り、各ケースにより所要時間が1ヶ月以内、2ヶ月以内、そして4ヶ月以内と異なります。今後、各ケースに対する適切な対策と対策実施期間の枠組みを決定して参ります。 では、参考資料 4をご覧ください。これらの事故については、先ほども申し上げたように、当社として対策を講じる必要のないケースです。 その内タイヤバーストの件では、 1995年8月、新潟県の北陸自動車道で死亡事故が発生しています。これは、トラックのタイヤがバーストし、対向車線のトラックに衝突した事故で、対向車線を走っていたトラックの運転手が死亡しました。ここで使用されていたタイヤは、他のメーカーでも使用されている、標準タイプのものです。 しかし、当時の警察の調べでは、この事故に関してはメーカー側の責任に帰するものではないとの結論が出ており、その時点で捜査は終了しております。この件は、我々が全面的な社内調査を実施するなかで再調査し、当時の警察の捜査結果を再確認した上で、今回ご報告させていただきました。 では、 47件の市場措置に話を戻します。現在市場に出回っている車両の対象台数は、合計約450,000台と推定されます。その内訳は、
これらの対象台数は、正式な市場措置の届出後に確定致します。 代表取締役社長 最高経営責任者 ヴィルフリート・ポート: 皆様、 お客様との接点は販売会社になります。私自身、販売会社とのミーティングを定期的行なっております。先週も、今後販売会社が一丸となってこの難関を乗り越えていくとの彼らの決意を聞きました。 通常の「業務用車両の 3ヶ月点検」、そして「自家用車両の6ヶ月点検」に相当する点検項目で、7月7日よりふそうのトラックおよびバスの全車両を対象に、無料点検を実施致します。 この二つの活動は、「点検・キャンペーン」として実施いたします。 しかし、これだけの市場措置の件数と、その複雑性を考えると、明らかに時間が必要になります。 今後、一つ一つのケースに対し、ステップバイステップで適切な市場措置を実施して参ります。しかし、たとえ当社のように大きな組織であっても、これだけの莫大な作業に対応するためには、支援を必要とします。 皆様ご存知の通り、当社はダイムラークライスラーの一部であります。 それに応えて、ドイツのメルセデスベンツが派遣した最初のチーム 10名がすでに来日し、この数日間にわたる分析作業のサポートを行っています。 加えて、今後当社の製造、サービスの専門知識、そして販売会社のサポートを強化するため、ドイツから更に人材が派遣されることになっています。 ここで、事業に対する影響について申し上げます。 しかし、事業全体に対して莫大な影響があることは間違いありません。 しかし、ふそうは強固な基盤を持った企業であります。 ふそう独自のノウハウに加え、ダイムラークライスラーの全面的な技術支援や専門知識のもと、当社はこの難関を乗り越えていけると確信致しております。 自動車産業にリコールは常にあるものですが、今後、リコールが速やかに実施されるよう確認して参ります。 我々は、当社が構築した一連の対策により、今後の品質問題の再発を防いでいけると確信しております。
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