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三菱ふそう

世界一クリーンなハイブリッド小型トラック
「キャンター エコ ハイブリッド」を新発売


2006年7月5日

パラレル式ディーゼルハイブリッドシステムを採用し、優れた燃費と環境性能を実現。
小型トラックでは国内で初めて新長期排出ガス規制(平成17年規制)の厳しい規制値をクリア。従来エンジン搭載車両に比べ、NOx(窒素酸化物)を41%、PM(粒子状物質)を46%削減。
Ecology(環境性能)、Economy(経済性)、Easy Drive(イージードライブ性能)をベストバランスで実現。
同車はダイムラー・クライスラー社のトラック事業における戦略的な商品。

三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下:MFTBC)は、7月5日(水)より、パラレル式ディーゼルハイブリッドシステムを搭載した小型トラック「キャンター エコ ハイブリッド」を全国の三菱ふそう地域販売部門およびふそう系販売会社より発売しました。

「キャンター エコ ハイブリッド」は大幅な燃費向上と排出ガス低減を実現し、運転操作の負担を軽減したイージードライブも提供します。また、環境性能面でも世界で最も厳しい「新長期排出ガス規制(平成17年規制)」の規制値を、小型トラックとして国内で初めてクリアし、国内ブランドのハイブリッド商用車の中ではトップレベルの燃費を誇ります。


キャンター エコ ハイブリッド(撮影用特別仕様車)

本日、東京で開催された「キャンター エコ ハイブリッド」の発表会には、ダイムラー・クライスラー社(以下:DC)会長ディーター・ツェッチェ氏、同トラックグループ総責任者のアンドレアス・レンシュラー氏、MFTBC代表取締役社長兼CEOハラルド・ブルストラー、同会長江頭啓輔のほか、ユーザー代表などが出席しました。

DC会長ディーター・ツェッチェ氏は、「“キャンター エコ ハイブリッド”の登場は、世界のトラック業界における画期的な出来事です。この先進的な技術は環境とお客様双方に恩恵をもたらします。DCトラックグループのアジアにおける要である三菱ふそうは、同車の発表により、DCグループが追求する環境維持と顧客価値の向上を具現化しました。また、DCの商用トラック向けハイブリッド技術における世界でのリーディングポジションを確固たるものとするでしょう。」と語っています。


1.商品特長
「キャンター エコ ハイブリッド」はEcology(環境性能)、Economy(経済性)、Easy Drive(イージードライブ性能)の3つをコンセプトに、これらをバランス良く実現することで、社会とユーザーの皆様に優しい小型トラックを提供します。
(1)パラレル式ハイブリッドシステムの採用
「キャンター エコ ハイブリッド」はパラレル式ハイブリッドシステムを採用し、それに3リッターの小排気量ディーゼルエンジンと、新開発の薄型モーター、機械式自動トランスミッションINOMAT-II(イノマット-II)を組み合わせました。

モーターとエンジンの双方で駆動できるため、状況に応じて最適なモードを使い分け、CO2削減や燃費の向上に効果を発揮します。

クラッチとトランスミッションの間にモーターを配置することにより、モーターのみでの発進が可能となりました。さらに、熱効率の高い定常走行時はエンジンのみで走行。加速時や登坂路ではモーターとエンジンの両方を使って走行します。制動時にはモーターを発電機として使用し、制動エネルギーを回生して電気エネルギーとして電池に貯めます。これにより、大幅な低燃費とCO2削減効果を発揮します。



パラレル式ハイブリッドシステム

●定期交換不要のリチウムイオン電池を採用
小型軽量で定期交換不要(注1)の新型リチウムイオン電池を採用しました。同電池は、現在ある他の電池よりも高性能で、瞬発力、スタミナ共に自由度が高く、様々なチューニングが可能です。また、耐用年数は通常の都市内走行で約10年、走行距離にして約30万kmとなっています。
リチウムイオン電池モジュール リチウムイオン電池の特性
(注1)標準的な市外配送走行時は定期交換不要です。電池の寿命は走行条件、気温等により異なります。

●ハイパワーの駆動用モーターを新開発
駆動用モーターには、最大出力35kW(200N・m)のハイパワーで厚さ110mmとコンパクト設計の永久磁石式モーターを採用しました。発進時にモーターのみの走行を行なうことにより、燃費の向上に貢献します。加速時は太いトルクによりエンジンのアシストをします。

また、エンジン始動を駆動用モーターで行なうため、セルモーターによる始動に比べて静粛性が向上し、さらにセルモーターのメンテナンス費用を低減します。

ハイパワー駆動用モーター


(2)小型トラック初、新長期排出ガス規制をクリア
「キャンター エコ ハイブリッド」の環境面の最大の特長は、排出ガスの大幅な低減です。エンジンは、新開発の4M42型3リッターディーゼルインタークーラーターボエンジンを搭載しました。従来型エンジンに比べ、窒素酸化物(NOx) を41%、粒子状物質(PM)を46%削減することで、世界でもトップレベルの厳しい新長期排出ガス規制(平成17年規制)を小型トラックとして初めてクリアしました。

4M42型エンジン

●強制再生制御付連続再生式DPF
強力酸化触媒と耐熱性に優れたSiC(炭化ケイ素)セラミックフィルターを組み合わせた「強制再生制御付連続再生式DPF」を新開発しました。前段の酸化触媒部分でHC(炭化水素)やPMの一部を浄化させると共に、SiCセラミックフィルターで残りのPMを捕集・除去します。
さらに後段の酸化触媒部分で強制再生時に発生するHCとCO(一酸化炭素)を浄化します。
また、PMを自動的に燃焼させる連続再生を行いますが、PMの堆積量に応じて、エンジンを制御して、排気温度を強制的に上昇させる強制再生制御を行います。なお、強制再生制御中のドライバビリティに変化はありません。

強制再生制御付連続再生式DPF

●高精度クールドEGRシステム
NOx低減技術として、高精度クールドEGR(注2)システムを採用しました。高温化した排出ガスの一部を水冷式のEGRクーラーで冷却し、燃焼室に再循環させることにより、燃焼温度を低下させ、NOxを低減します。

今回、エアフローセンサーを追加し、吸入空気量と燃料噴射量から空燃比を正確に検知し、あらゆる運転条件にも合致した最適なEGR制御を実現しています。また、DCモーター駆動EGRバルブやDCモーター駆動吸気スロットルのきめ細やかな制御や給気温度・給気圧力の情報、そしてアクセル開度などの情報も加え、車両の自然なドライバビリティを達成しています。

(注2)EGR(Exhaust Gas Recirculation):排出ガス循環装置


高精度クールドEGRシステム


(3)機械式自動トランスミッションINOMAT-II
マニュアルトランスミッションをファジー制御により自動化した、機械式自動トランスミッションのINOMAT-II(イノマット-II)を搭載しました。変速時のモーターとの同期作用などの優れたマッチングにより、スムーズな変速が実現しました。

機械式の伝達効率の良さと最適なギヤ段選択により、運転技量に関係なく、ベテランドライバー並の低燃費運転が可能です。

また、2ペダル式であるためオートマチック車限定免許でも運転が可能です。INOMAT-IIが実現するシンプルなドライビングは、運転負荷を軽減し安全性の向上、そしてクラッチ寿命延長などトータルライフでの低コスト化の向上にも貢献します。
機械式トランスミッション INOMAT-II シフトノブ

(4)EZGO&ISSシステム
「キャンター エコ ハイブリッド」には、坂道での車両停止後、ブレーキペダルから足を離しても制動力を保持する坂道発進補助装置EZGO(イージーゴー)を標準装備しました。これにより、モーターのアシストと併せてスムーズな発進が可能となります。
また、ISS(アイドリング・ストップ&スタート)システムも標準装備しました。信号待ちなどの停止時にNレンジへのシフト操作でエンジンを自動停止、発進時にDレンジにシフト操作することで、駆動用モーターによるエンジンの自動始動を行います。これにより、排出ガスの低減、騒音の減少、燃費の向上に貢献します。

ISSシステムスイッチ

(5)その他の特色
「キャンター エコ ハイブリッド」は、従来の架装性を損なうことなく、ハイブリッドシステムを搭載しています。また、クラッチとINOMAT-IIの間にモーターを配置したため、PTO(パワーテイクオフ)の取り付けが可能で、従来と同じように塵芥車・冷凍車など特装車の架装が可能です。


2.DCトラックグループとMFTBCのハイブリッド技術
  • MFTBCは、DCトラックグループのハイブリッド車両(HEV)開発センターとして、最先端のハイブリッド技術の開発を担当しており、システムの一部を世界展開していくことも視野に入れています。

  • DCトラックグループ総責任者アンドレアス・レンシュラー氏は、「三菱ふそうはDCトラックグループにおいて、ハイブリッド技術のグローバルコンピタンスセンターという明確な戦略的役割を担っています。“キャンター エコ ハイブリッド”は、この分野における同社の強さを物語っており、トラックグループ全体に恩恵をもたらします。」と説明しました。

  • MFTBC代表取締役社長兼CEOのハラルド・ブルストラーは、「“キャンター エコ ハイブリッド”は、私たち三菱ふそうが、環境、お客様、社会全般に対し全力で取り組んだ結果、生まれた商品です。当社の全従業員は、“キャンター エコ ハイブリッド”を誇りに思っています。同車は、地球環境をより良いものへと変えるのに微力ながらも貢献するでしょう。」と強く語りました。
MFTBCは、開発、生産、販売など全てにおいて環境への配慮に努めています。「キャンター エコ ハイブリッド」の発売を始め、当社の環境への取り組みは、常に社会への視点に基づいて
行われています。お客様にとってNo.1の企業を目指すだけでなく、すべてのステークホルダーにとっての信頼度No.1企業となるべく邁進する所存です。


3.販売目標台数
  キャンター エコ ハイブリッド 400台(06年末まで)


4.東京地区販売価格 (消費税含む) (単位千円)

主な車型 エンジン 最大積載量 主な仕様(キャブ付シャシ) 価格
ACG-FE74B(B)V 4M42(T2)
92kW(125ps)
2トン 全低床標準ボデー 4,875.15
ACG-FE74B(E) 3トン 高床ロングボデー 5,247.90


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