大型トラック プロペラシャフト点検・整備の重要性と留意点について
2012年12月18日
プロペラシャフトの定期的な点検・整備(グリースの給脂、がた点検)を怠ると、プロペラシャフト継手(スパイダー)部やセンターベアリング部のガタが増え、異常振動や異音が発生するだけではなく、最悪の場合、プロペラシャフトの脱落やクラッチハウジングの破損など重大な事故や故障に繋がるおそれがあります。これら不具合を未然に防ぎ、お客様ご愛用のお車を末永く安全にご使用いただくために、確実な定期点検の実施をよろしくお願い致します。
なお、お客様自ら点検される場合には、下記留意点をご参考にして頂き、確実な点検をお願い致します。 |
<不具合事例>
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【プロペラシャフトの法令点検項目】
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- プロペラシャフトの給脂状態 (3か月ごと、12か月ごと:ホイールベアリンググリースを給脂)
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- プロペラシャフト連結部の緩み (3か月ごと、12か月ごと)
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- プロペラシャフト継手のガタ (12か月ごと)
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- センターベアリングのガタ (12か月ごと)
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■グリース給脂要領
≪三菱ホイールベアリンググリース≫をプロペラシャフトに給脂します。
グリースニップルの位置によってはハンドグリスガンにフレキシブルチューブをセットするか、車両を移動してグリースニップルの向きを給脂できる位置に合わせます。(給脂箇所については下図の通りです)
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a ユニバーサルジョイント部
スパイダー中央部のグリースニップルから給脂し、
ベアリング部4箇所全てから新しいグリースが出てくるまで充填します。 |
b スリップジョイント部、ユニバーサルジョイント部
スリップショイントダストプラグ穴から、
新しいグリースが出てくるまで充填します。 |
c センターベアリング部
グリースニップルと反対側のエスケープバルブから、
新しいグリースが出るまで充填します。
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アドバイス
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- プロペラシャフトの給脂箇所は車種により若干異なりますので取扱説明書を参照してください。
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- プロペラシャフトのグリース給脂はオートグリスターでは出来ません。
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- 月間の走行距離が長い車両は1か月ごとの給脂をお願いします。(1万km以上/月)
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- グリース給脂不足の場合、一般走行中にプロペラシャフトから異音が発生する場合があります。
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- プロペラシャフトのガタ付きや、焼付き気味な状態時は、ハンドルやキャブ等に振動を感じる場合もありますのでプロペラシャフトを点検し、給脂をお願いします。
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■グリース給脂時にプロペラシャフトの「がた点検」も同時に点検してください。 下図のとおりユニバーサルジョイント付近、及びセンターベアリング付近を回転方向、上下、左右に動かしてガタがないかを点検します。ガタが認められる場合は、分解整備をお願いします。
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【点検時の留意点】
①プロペラシャフトの点検
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- スパイダー部のガタ点検を実施する前には、スパイダーへのグリース給脂は絶対しないで下さい。グリースを入れることにより、ガタを手で感じ難くなります。
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- リテーナボルトに緩みがないか良く確認して下さい。
リテーナボルトの締付トルクが不足していると、リテーナボルトが折損し最悪はプロペラシャフトが脱落するおそれがあります。
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- スパイダー部を分解整備する場合は、バランスピースを必ず元の位置に装着して下さい。
バランスピースを付け忘れたり、元と違う位置に装着するとペラシャフトのバランスが狂います。
②センターベアリング ラバー部の点検
- センターベアリングのガタを確認する際は、センターベアリングのラバーの亀裂、損耗も合わせて確認をお願い致します。また、ラバー部にグリースが付着したままで継続使用しますとラバーが短期間に膨潤し、不具合の原因となりますので、よく拭き取って下さい。
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