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バリューチェーン全体のカーボンニュートラル化に挑戦

 

・ポルトガル・トラマガル工場を2022年までにカーボンニュートラル化
・日本の各工場も2039年までにカーボンニュートラル化の達成を目指す
・川崎・中津工場では2015年比17%以上のCO2排出量削減をすでに達成
・カーボンニュートラル化社会に向けてCO2排出量削減に向けた活動を加速

 

三菱ふそうトラック・バス株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長・CEO:ハートムット・シック、以下MFTBC)は、ダイムラートラック社の一員として、同社が全世界の製造拠点をカーボンニュートラルにするという目標に沿い、すべてのMFTBCの工場のカーボンニュートラル化に挑戦します。ポルトガルに所在するMFTBCの連結子会社三菱ふそうトラック・ヨーロッパ(Mitsubishi Fuso Truck Europe S.A.、本社:ポルトガル、以下MFTE)のトラマガル工場は、2022年までにカーボンニュートラルとなる見込みです。日本国内の工場は2039年までのカーボンニュートラル化を目標としています。すでに、MFTBCの川崎・中津の両工場では、2015年比で二酸化炭素(CO2)排出量を17%削減しました。

 

近年、世界中でカーボンニュートラルへの取り組みが加速しています。日本政府は、2021年6月に閣議決定した成長戦略実行計画の中で「自動車分野においては、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル化」を目指すと述べました。

 

このような中でMFTBCは、ダイムラートラックグループの目標である「日本、北米、ヨーロッパで2039年までにすべての新車をカーボンニュートラルにて走行する(“tank-to-wheel”)車両とする」に沿い活動しています。ダイムラートラックグループは、車両の電動化によってこの目標の達成を目指すとともに、この目標に向けて二方向の戦略を採用しています。

 

ダイムラートラックグループは、2022年までに、日本、米国、ヨーロッパの主要な販売地域において、バッテリー駆動の量産車両を製品ポートフォリオに加える目標の下に開発を進めています。また2027年以降には、水素で駆動する燃料電池車両の量産モデルを加える意向を持っています。最終的な目標は、2050年までにカーボンニュートラルな輸送を達成することです。

 

また上記の製品に関する目標に加えて、生産プロセスなどバリューチェーンの他の側面でのサステナビリティにも取り組んでいます。 ヨーロッパのすべてのダイムラートラックグループの工場は、2022年までにカーボンニュートラルを達成する予定です。

 

■トラマガル工場は2022年までにカーボンニュートラル化を達成

MFTEは、ポルトガルに所在するトラマガル工場が、2022年末までにカーボンニュートラルとなり、サステナブルなトラックの製造への道筋をつけたことを発表しました。トラマガル工場は、ふそうの小型トラック「キャンター」と電気小型トラック「eCanter」の、欧州における生産の中心です。

 

同工場での取り組みは以下の通りです。

  • グリーン電力の契約、工場内での太陽光発電量の増強、自家消費への切り替え
  • 構内輸送、倉庫車両のすべてを電動車両に交換
  • (今後の取り組み)太陽光パネル使用によるグリーン水素生産の検討と、それによる天然ガス消費の段階的な置き換え

 

近年、同工場はCO2排出量を段階的に削減しており、2022年のカーボンニュートラル生産の達成を前に、2021年には前年比50%のCO2排出量削減を達成する見通しです。

 

ポルトガル・トラマガル工場

 

■MFTBCの国内工場は2039年を目標――川崎・中津では5年間でCO2排出量を17%削減

MFTBCは日本の川崎、富山、中津の3工場も、トラマガル工場に続いて、遅くとも2039年までのカーボンニュートラル化達成を目指します。

 

MFTBCは、本社を置く川崎製作所と中津工場(神奈川県愛川町)で、2015年からの5か年計画によりCO2排出量の同年比17%削減を達成しました。これに続く取り組みとして、川崎製作所を2039年までにカーボンニュートラル化することを目指し、新たな計画を策定しました。またMFTBCの生産ネットワークで重要な拠点である、バスを製造する富山工場やトランスミッションなどを手掛ける中津工場も、同じく2039年を目標としています。

 

新たに策定した川崎製作所の計画には、主に以下の取り組みを盛り込んでいます。

1.省エネルギー:エネルギー需要の削減やエネルギー効率の良い設備機器の導入により、生産におけるエネルギー消費を削減

2.再生可能エネルギーの生成:再生可能エネルギーの自家生成により、CO2排出量を削減

  • 2013・14年に、川崎製作所の建屋屋上に太陽光発電設備を設置
  • さらなる太陽光発電設備の設置を計画中
  • 水素など他のエネルギー源の統合を検討
  • グリーンエネルギーの購入とCO2排出係数の低減:電力会社との協力

3.CO2オフセット制度の活用

川崎製作所

 

またMFTBCでは、製造プロセス自体のCO2削減も検討を始めています。例えば、表面処理の方法を見直すことで、車両の塗装で排出されるCO2と揮発性有機化合物(VOC)を削減する可能性についての評価を行っています。

 

■バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルに挑戦

製造だけでなく、MFTBCは車両のバリューチェーンの他の側面にも着目しています。それぞれの段階において、CO2排出量を削減するための方法を検討しており、いくつかはすでに実行に移されています。

 

<輸送>

輸送は、バリューチェーン全体のCO2排出削減を進めるにあたり、MFTBCが着目している領域の一つです。MFTBCは、サプライヤーから材料や部品を受け取る過程と、製品をお客様にお届けする過程のそれぞれで発生するCO2排出量を数値化する方法の評価を開始しました。これらの領域ではすでに、以下のような対策を実施しています。

  • 部品や製品を輸送するトラックの数を見直し、積み荷やルートを最適化することでCO2排出量を削減するとともに、一部を「モーダルシフト」へ転換
  • 構内輸送におけるCO2削減のため、電動フォークリフトの導入

MFTBCは現在、輸送業務におけるカーボンニュートラル化の計画を策定しており、近く取り組みの領域を拡大する予定です。

 

<購買>

MFTBCの購買活動では、ダイムラーのサプライヤーサステナビリティ基準とダイムラートラック購買ガイドラインに沿って、サプライヤー評価の一環としてサステナビリティを考慮しています。MFTBCはダイムラートラックの一員として、サプライヤーに気候保護とサステナビリティに関する取り組みを推奨し、サプライヤー企業の内部とそれらの企業のサプライチェーン双方で、より高い水準を目指す行動を促しています。

 

CDP気候変動レポートがその一例です。サプライチェーンの環境に与える影響の透明性を高めるために、ダイムラートラックはCDP(旧称:Carbon Disclosure Project)などの機関と協力しています。 2020年には、主要なサプライヤーを対象に、CO2排出量などの環境への影響を報告するCDPの年次調査を実施しました。これまで、ダイムラートラックグループの年間購入量の70%以上に相当するサプライヤーに参加を要請してきましたが、2021年は対象範囲を広げ、自動車のサプライチェーン全体でのCO2排出量削減への取り組みを支援する予定です。

 

その他の取り組みとして、ダイムラー全体で毎年開催している「Sustainability Award:サステナビリティ賞」を通じて、サプライヤーの気候保護とサステナビリティの取り組みを推進しています。この賞は、気候保護と資源保全で際立った取り組みを行っているサプライヤーを表彰するために、2019年からすべての部門で行われています。

 

■2039年より早期の達成を目指し、ダイムラートラックグループで協力

MFTBCは2039年をカーボンニュートラル化の目標年に設定していますが、目指すのは可能な限り早期の実現です。ヨーロッパのトラマガル工場やその他のダイムラートラックグループの生産拠点は、2022年までにカーボンニュートラルの達成に向けて順調に進んでおり、これらの拠点の知見がMFTBCの取り組みの加速にもつながります。またMFTBCからも取り組みをダイムラートラックグループの他拠点・企業に展開することで、グループ全体のカーボンニュートラルへの取り組みの加速に貢献します。

 

「気候変動は地球規模で取り組み解決すべき問題です。そのため、商用車の電動化は、商用車メーカーとお客様だけでは実現できません。業界間の連携と政府の支援も、物流とサプライチェーン全体で効果的な変革を達成するにあたっては不可欠な要素です。この大きな挑戦を成功させるには、官民の協働が欠かせません」

(三菱ふそうトラック・バス株式会社 代表取締役社長・CEO ハートムット・シック)

 

 

 

三菱ふそうトラック・バス株式会社について

三菱ふそうトラック・バス株式会社(MFTBC)は、ダイムラートラック社が89.29%、三菱グループ各社が10.71%の株式を保有し、川崎市に本社を置く商用車メーカーです。85年以上の長い歴史を持つFUSOブランドの、小型、中型、大型トラックやバス、産業用エンジンを含む製品を世界170以上の市場向けに開発・製造・販売しています。2017年、初の量産型電気小型トラック「eCanter」を市場に導入し、2019年には、日本の商用車市場のベンチマークとなる、SAEレベル2相当の高度運転支援技術を搭載した大型トラック「Super Great」を商用車メーカーとして初めて日本に導入しました。MFTBCは、ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ社(DICV)とともにダイムラー・トラック・アジアの一員として、製品開発、部品調達、生産などの分野で協力し、お客様に最高の価値を提供しています。

 

Daimler Trucks Asiaについて

ダイムラートラック社傘下のダイムラー・トラック・アジア(DTA)は、85年以上の歴史を持つ日本の商用車業界の象徴である三菱ふそうトラック・バス株式会社(MFTBC)と、インド市場で新進気鋭の商用車メーカーであるダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ社(DICV)を共同で運営する組織体です。DTAは、製品開発、生産、輸出、調達、開発を組織として共同で行う戦略的なビジネスモデルを採用することで、革新的で最先端かつ価値の高い製品をお客様に提供しています。DTAは「人と地球に、より良い生活と環境を実現するモビリティ・ソリューションを提供します」をビジョンとし、全世界のダイムラートラックグループの目的である 「For all who keep the world moving/世界を動かし続ける全ての人々のために」を柱として活動しています。