リコール関係業務に関する社内調査結果の概要

本調査の趣旨、及び目的は
1:クレームなどを含む市場品質情報の管理及び実務の実態
2:市場品質情報の運輸省当局への開示上の問題点
3:リコール・改善対策の届け出に関する姿勢、判断、手続の実態
について問題点を解明し、改善・再発防止を図ることにあります。

調査の方法は社内調査委員会を設置し、品質・サービス・開発・生産などの関係部門の社員・役員(OBを含む)からの聞き取り調査と、それらの部門から資料の提出をうけ、調査を行なったものです。

この調査により、判明した事実関係の概略は次の通りです。

<商品情報連絡書の管理の方法とその当局への開示の実態について>

商品情報連絡書とは、販売会社等から商品に関するクレーム、不具合、または提案等多種多様の報告を受けるものであり、電子情報として処理されております。この連絡書が通 常管理されるものと、これとは別に管理されるものとの二重管理となっておりました。

別管理扱いとした情報は、監査時に対応できない等の判断に基づくもののほか、連絡書の記載が不明確であったり、不具合の範囲が特定できないため、という理由によるものもありました。

この二重管理は、明確に遡れる限りでは1977年頃より行なっていたと推定されます。この内、別 管理扱いとされていたものは、運輸当局の監査時に提示されておらず、98年4月以降2000年6月までの間に受信した商品情報連絡書を調べたところ、約2/3が提示されていませんでした。

このような二重管理については、実際の実務はグループ長レベルまでで処理されていましたが、担当部長クラスまでも事実上承知しており、またそれら部門の上位 役職者もうすうすは認識はしていたのではないか、と委員会は推定しています。

<リコール・改善対策に関する届け出の実態について>

商品情報連絡書が上記のように二重管理されていたに係わらず、社内的にはあらゆる商品情報をベースに、リコール・改善対策の検討が行なわれていましたが、検討過程において技術的に判断が甘かったものもあった、と考えられます。

また、リコールの届け出をせずに先行的に改修を実施した、いわゆる「指示改修」をしたものがあった、ということも重大な問題と認識していますが、98年4月以降に乗用車関連2件、トラック・バス関連3件がこれに該当しております。もちろん、指示改修したすべてがリコール等の届け出を要するものであるという認識によるものではありませんが、一部疑念を抱いたまま対応していたものがあることは否めません。

なお、この判断は一義的には担当部長レベルで行なわれていましたが、関係部門の本部長クラスの中には承知していた者もあったと、社内調査委員会は判断しています。社内実務上、別 管理のものも含め、重要度の高いもの、対応を急ぐものについて優先的に処理してはいました。しかし、リコールの件数を最小化したいという意識が関係者内に働き、その結果 、指示改修に繋がっていきがちだったと、考えられます。

なお、運輸当局より、97年11月の総点検指示、99年3月指導、99年12月指示が、業界全体又は、当社に行なわれましたが、それらに対する当社の対応にも問題があったと言わざるを得ません。


 なお品質問題調査に基づく社内調査委員会としての課題提起
として、次の事項が指摘されております。

  1. 企業体質・風土・倫理という次元での全社員の意識改革、特にコンプライアンス意識、外部への情報開示姿勢のあり方を根底から改革すること。

  2. 基本的には、当社製品の品質のレベルの向上なしには問題の解決にはならない。従って、開発・生産分野における品質レベル向上に向けて、全社的に再取り組みが必要であること。

  3. 品質に係わるコンプライアンスのため、品質・サービス部門を超えた、外部の目を含めた監査体制を構築すること。

  4. 品質・サービス関係業務の運営の適正化が急務であることは勿論、人事の刷新、人員、人材、対応能力の強化を図り、組織的にも内部指向の運営を改めること、決裁権限のあり方等抜本的に見直すこと。

平成12年8月22日

三菱自動車工業株式会社


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